Hさんご家族が河北町に建てた個性豊かなこの家のなかでも、とくに中心的な役割を担っているもの。それが、リビングに置かれている薪ストーブだ。山形市内よりもはるかに雪深く、冬の寒さが厳しい環境の土地柄であるにもかかわらず、この薪ストーブひとつあるおかげで、Hさんご家族は冬のあいだ一度もエアコンを使うことなく、薪の炎が与えてくれる暖かさだけで家族全員、一日中、快適に過ごすことができている。
堂々とした存在感を放つこの薪ストーブは、バーモンドキャスティングというアメリカのメーカーのディファイアントという製品。日本に輸入される薪ストーブのなかでも最大級のサイズのもの。旦那さんお気に入りのアイテムとなっている。「エアコンやヒーターの熱風や、それによって空気が乾燥してしまうのが苦手」で、「炎がくれる暖かみが好き」というご夫婦は、自分たちの家づくりを始めるにあたり、「自分たちの大好きな薪ストーブを設置することが、譲ることのできない条件になっていった」と語ってくれた。
まだお子さんがおひとりだけの親子3人で暮らしていた山形市内のアパートが、ご長男の成長とともに手狭になり、自分たちの家づくりを始めることに決めたのは4年ほど前のことだ。いくつものハウスメーカーや展示場を回ってみて感じたのは、「ふつうのハウスメーカーではないところにお願いした方が良さそうだ」ということ。「薪ストーブを入れたい」という自分たちの要望をしっかりと聞き入れてくれて、アウトドア好きな自分たちの家づくりを気持ちよく、そしてコストパフォーマンス良くやってくれそうなところがどこかないだろうか。福井建設との出会いは、そういうHさんご家族のあつい想いから生まれた。
Hさんの薪ストーブへのこだわりは強く、プロダクトだけでなく、その配置や家の間取りや設計にも非常に大きく影響しているというのが特にユニークな点だ。薪ストーブを置いた西側の場所をそのまま吹き抜けにするのではなく、あえてその反対側の東側のほうを吹き抜けにしている。「薪ストーブの近くの部分には天井をつけて、まずは1Fフロアに暖気を滞留させます。そうすることによって1Fリビングが十分に温まってから、吹き抜けを通して2Fフロアに暖気がのぼっていく、という空気の流れを重視しました。それに、吹き抜けを東側にすることで、夜が明けて太陽がのぼったときに入ってくる朝の光を浴びることができますしね。」
さらにキッチンも、薪ストーブとの連動という観点から考えられている。というのもHさんご家族にとって、薪ストーブはただの暖房器具ではなく、調理器具でもあるから。キッチンの延長のような役割も果たしている、というわけだ。ストーブの天板部分にはいつも鍋やポットを乗せて、煮込みやスープをコトコトさせている。だからちょうどいい近さで、その動線もしっかりと確保しつつ、暖炉の炎の様子がいつでも見られるように、という位置にキッチンを配置した。
背面にはモスグリーンのタイルが並べられ、前面はヘリンボーンのアクセントが効いているおしゃれなキッチンで下準備された鍋を暖炉の上に置いたら、あとはソファにくつろいで家族みんなでテレビを見るのもいい。そんな冬が終わって春を迎え暖かくなってきたら、薪ストーブ横のガラス戸を開けて一歩足を踏み出せば、気持ちのいいテラスに繋がっているので、気軽にいつでも季節の風を感じながら食事ができる、というのもいい。リビングからのアクセスが非常に良いそのテラス自体も、床はタイル、天井はレッドシダーというこだわりぶり。休日はもちろんふだんの平日から家族みんなで肉や野菜を焼いて、外での食事を満喫している。この家ではバーベキューはごくごくふつうの日常の光景なのだ。
薪割りは、日曜夕方の旦那さんのお仕事。薪ストーブやアウトドア好きな仲間や知り合いのつてによって寄せられた情報をもとに、地元で伐採された木々をもらって来ては、斧を振り下ろしてパッカンパッカン割る。暖かい季節のうちにたくさんの薪を準備し、庭を囲むように設置された薪棚に並べては乾燥させ、やがてまたやって来る冬の季節に備える。旦那さんが薪割りをしているあいだ、庭では、子どもたちが猛烈ないきおいで元気にサッカーボールを蹴ったり、ダンゴムシを捕まえたり、鳥を追いかけたり、夢中になって走り回っている。「最初は、庭には畑をつくりたい、と思っていたんですけどね。子どもたちは『サッカーやりたい!』って言うので、芝生を敷こうかと考えているところです」と旦那さんは楽しそうに教えてくれた。
家中を見渡せば、薪ストーブ近くに並べられた世界各国のビール瓶の数々。キッチンの棚の上部に飾られた、世界中から収集したコーヒーショップのマグカップたち。リビングのボードに貼られた、子どもたちの思い出が詰まった写真。そして、美しい佇まいのナラの無垢のフロア。吹き抜けに吊るされた素敵なドライフラワー。品の良いレッドシダーの天井。アクセントが効いたヘリンボーンの木壁、質感の良い漆喰の白壁。さらにはブルーのモザイクタイルの洗面台。大きな世界地図が描かれた2Fホールのクロス。照明やボタンのひとつひとつ…。そしてやっぱり、大きくてかっこいい、存在感のある薪ストーブ。家の空間の隅々までを満たしているこの家のこだわりは、どこまでも真っ直ぐに自分たちらしい家づくりに向き合ってきたHさんご家族の想いそのままであり、これこそまさに「こんなふうに暮らしたかった家」のかたちなのだろう。
注文住宅の間取りや素材選び、外観デザイン、価格などのご相談を承ります。土地探しのお手伝いや注文住宅建築の流れのご説明をご希望の場合には、お問い合せの際にお知らせください。不動産会社やファイナンシャルプランナーと協力して、お客様にとって最適なプランをご提案いたします。
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